ビール会社たちの環境戦略
そのアンハイザーブッシュ社が、イタリアの再生エネルギー発電会社 エネルグリーンパワー(Enel Green Power)と電気の買い付け契約を結びました。
契約した電気は、オクラホマにある風力発電所で発電されるものであり、両社のトップ経営者によると、アンハイザーブッシュが北アメリカで行う事業の消費電力の半分を賄うことが出来るとのこと。
環境に対するビジネス界と政界の違った見方
アメリカでは、2017年6月にトランプ大統領によってパリ協定からの撤退が発表されたにも関わらず、ビジネスシーンでの再生可能エネルギーへの投資が盛んです。
その理由は一概には言えませんが、例えば、
環境保護を大切であることを理解していること、
大企業が環境・社会に与える影響の大きさを理解していること、
そして、環境保護・再生可能エネルギーは会社にとっても利益につながること、
が挙げられます。
誰もが使ったことのある、ティッシュブランド クリネックスで知られているキンバリークラーク社も、最近再生可能エネルギーで会社のエネルギーを賄うことを推進しています。
その際に、サステナビリティ部門のグローバルヘッド リサ・モーデン(Lisa Morden)氏は、「数々の再生可能エネルギーに関わる新方針によって、2022年までに数百万ドルのコストが削減出来る見込み。これは、サステナビリティに関わる活動が環境にとっても経済にとっても利益がある、ということを知らしめる力強いデモンストレーションになる。」と発言しています。
関連記事:【コスト計算】最安の再生可能エネルギーは風力発電?
ビール会社達の環境戦略
アンハイザーブッシュの今回の契約は、親会社であるアンハイザー・ブッシュ・インベブ社の活動の伴って動きはじめたものです。
アンハイザー・ブッシュ・インベブ社は、2017年3月に、2025年までに会社で使用する電力の100%を再生可能エネルギーに変えるという方針を発表しました。
(そのために必要となる電力はおおよそ6TWh、 参考:通常サイズの火力発電所の発電量は 100万KWh ほど)
発表当時の達成率はたったの7%ほどでしたが、最新の結果だと25%ほどということで急激に進んでいます。
水やホップなど、環境とは切っても切れないビール会社にとって、環境戦略を進めるのは大事なことなのかもしれません。
では日本企業は?
実は日本においてもビールメーカーは先進的な環境戦略を持った企業の一つです。
例えば、アサヒビールの目玉賞品「アサヒスーパードライ」は

自然エネルギーにより発電された、「グリーン電力」をにほにち活用している商品とのこと。
そしてライバルであるキリンビール、キリンビバレッジは

太陽光発電やバイオマス発電をフル活用し、電力による二酸化炭素排出量を大幅に削減しています。
消費者の一人一人が、会社の開示しているこういった情報に耳を傾けるのも大事な一方で、
投資家や企業年金などが、環境、社会に貢献する企業に対してお金を投入することもとても大事です。
ビール製造会社に限らず、こういった環境戦略をもっと日本でも浸透させることが、サステナブルな社会のための大事な一歩ですね。
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