【環境保護】循環型社会の実現を加速させるナノ粒子とは?

ナノ粒子とは?

ナノ粒子という物質を聞いたことはありますか?
ナノ粒子とは、サイズが1~100 nm程度の物質全般を呼ぶときの名称であり、現在理化学の世界で研究が進んでいる分野の一つです。
その極端な小ささから、体積に占める表面積の割合が非常に大きく、同じ量の同じ物質を使ったとしても、反応自体や、反応速度が異なる性質があります。
(表面積の割合が大きい=外界と接する面積が大きい ため)

地球温暖化を止めるためのナノ粒子

例えば、地球温暖化を止める可能性のある技術としては、空気中の二酸化炭素 (CO2)を減らせるナノ粒子が存在します。
ナノ粒子を触媒とし、水(H2O)と日光、そして空気中の二酸化炭素(CO2)が化学反応を起こし、メタノール(CH3OH)生成されます。
こういった形で生産されたメタノールは、燃料、有機溶媒、不凍液もしくはエタノールの希釈溶液に使用できます。
インディアンインスティチュートオブペトロリウムの科学者、スマン・ジャイン(Suman Jain)氏によると、二酸化炭素変換の触媒として使用されるこの物質は、銅酸化亜鉛とマグネタイト(磁鉄鉱)の球の周りにグラフェン酸化物の層を重ねることで作られており、小さなゴルフボールのように見た目とのことです。
golfball.jpg
イメージ
これにより、従来の触媒よりも効率的に二酸化炭素を捉え、反応させることができるようです。
現時点での問題点は、効率を求めた結果行き着いたのその小ささゆえに、まとまりやすいという性質があることです。
まとまってしまえば、もちろん触媒としての性質は失われてしまうため、改善なしでは、長期的な使用は難しいということです。
商業的な利用を目指し、改善は実施中ということです。

水を綺麗にするためのナノ粒子

重金属や染料、オイルなど、人間活動の結果発生してしまった水質汚染物質も、ナノ粒子を使って浄化が可能です。
簡単に言うと、表面に多数のアナを持っていて、かつ磁力を帯びたナノ粒子を水中に混ぜることで、その小さなアナに重金属の粒子を吸着させた後に簡単に回収することが可能、と言うことです。
磁力を使って回収されたナノ粒子は、重金属等を分離させて再利用も可能。
この方法は、従来の浄化方法よりも、フィルターの根詰まりがないことや、浄化のために注入しした物質が流出するような心配もないため、低リスク高効率だと期待されています。
また、水質の汚染といえば、石油や工業油の流出が海・川を汚していることは広く知られています。
oil-rig-explosion.jpg
海上石油掘削施設の火事
それに対する解決法としては、スポンジ状に形成された、ホウ素を組み込んだカーボンナノチューブがあります。
そのナノチューブは、水をほぼ完全に弾き、例えば水に沈み込ませようとしても全く濡れません。
しかし一方で、この物質は油に対しては高い吸着能力を持ちます。
そのため、水の上で分離した状態で浮いている油を、このナノチューブに吸着させることが出来るのです。
dip
youtube 動画内より
さらに驚くべきは、このナノチューブに吸着させた油も、ナノチューブ自身も再利用が可能という点です。
ナノチューブに吸着させた油は、押しつぶすことで取り出したり、燃やしたりすることで直接利用することが可能です。
squeeze
youtube 動画内より
そして、たとえ油を燃やしたりしたとしても、このナノチューブ自身は燃えたりしません。
そのため再利用が可能なのです。
burning
youtube 動画内より
ただ、これらの特性はまだラボの中での実験でしか証明されておりません。
そのため、次なる課題は、大規模、商業的な条件下でどれだけ活用されうるのか、という点です。
そのため、この技術を研究している、ポーランドのワルシャワ大学の研究グループは、産業界等からパートナーシップを募りたいということです。

廃棄物を分解するナノ粒子

一方で、放っておいても分解されるような廃棄物についても、対策は必要です。
人間活動によって、生ゴミや糞尿など、有機廃棄物も大量に生み出されています。
それらは放っておいていいレベルの量ではなく、
例えば、牛や羊などの草食動物の出す糞の量は膨大。
もしも世界中の家畜の全ての糞に何も処理が施されなかったら、年間で250万ヘクタール(2.5万㎢ ≒ 秋田県+長野県 程度)が彼らの糞の下に埋もれるという計算もあります。

もっともよく使われる対処法は、有機廃棄物(例えばヘドロ)を分解用のタンクなどに詰め込み、嫌気性分解に任せる方法。

これらは、廃棄物をバイオガスや堆肥などの有用なものに変換してくれますが、如何せんスピードが遅い。。。

これらに対しても、ナノ粒子が役立つと言われており、例えば、家庭サイズの分解装置に酸化鉄のナノ粒子を入れたところ、分解されたバイオガスの生産量が飛躍的に増えたということが報告されています。

堆肥.jpg

ガスが増える=分解された有機物質の量が多くなる ことを意味するため、ナノ粒子を足すだけで、分解効率が上がったということになります。

ここまで、色々ナノ粒子の利点を述べてきましたが、ナノ粒子も本来は自然界にはほとんど存在しない物質です。

その小ささから、他の生き物にどういった影響が与えられるかもわかりきっていませんし、自然環境の中に流出してしまったら、収集しきれません。

そのため、今後どんどんと規制も作られていくでしょうし、

逆に規制さえできれば、政府のお墨付き、という認識が広がって利用が増える可能性もあります。

技術で社会を変えるのも簡単ではありませんね。


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