【アメリカ】ハリケーンと地球温暖化の関係性
2017年夏、アメリカ南部には多くの巨大ハリケーンが到来し、甚大な被害を及ぼしています。
日本から見ていても、国際ニュースで取り上げられる圧倒的な水害等々に、いつまでこれは続くんだろう?と心配になる人も少なからずいたかと思います。
そして、頭に浮かぶであろう一つの疑問。
「これらのハリケーンと地球温暖化は関係しているんだろうか?」
あの有名な科学雑誌 Natureを提供している、シュプリンガー・ネイチャーグループのメディア Scientific American が、上の疑問に対して記事をまとめています。
結論としては、
「人間の活動によってハリケーン全体としての被害は悪化している」
「歴史上最強レベルのハリケーンがここ2年に集まっているのは、偶然とは言い切れない」
ということです。
一部の科学者の間の研究によると、ハリケーンの最大勢力がどんどんと強くなっていて、その原因には地球温暖化が含まれるということ。
Hurricanes are getting fiercer
まずこのことからも、歴史上最強レベルのハリケーンがここ2年に集まっているのは、偶然とは言い切れないことがわかります。
また、地球温暖化は一般的に気温のことにばかり目が行きがちですが、
海水がその気温上昇を吸収し、気温の上昇を緩和していることがわかっています。
気温の上昇を緩やかにする代わりに、海水温が上昇している、ということです。
そして、海水温度が上昇すれば、それだけ大気中の湿度は上昇します。
湿度の上昇割合はクラウジウス・クラペイロンの式という計算式に従い、海水温が1度上昇するたびに、湿度が7%上昇すると言われています。
高い湿度は、より多くの雨を呼び、ハリケーンの被害をより悪化させます。
ハリケーンによる被害は、強力な風や雨だけではなく、海水面の上昇も重要な要因です。
今回ハリケーンハービーなどで甚大な被害を受けた地域の中には、近年で海水面の上昇が警告されていたエリアがありました。
例としては、テキサス州沿岸地域。こちらは、30年前と比較すると7インチ(17.8cm)も海水面が上昇しているとのこと。
約18cmも海水面が上昇している、ということは、例えば沿岸部で膝丈が浸かる規模の洪水が起きたとしても、太ももが浸かってしまうしまうレベルにまで悪化することを意味します。
この例を考えると、本来人間が自力で脱出対応できたレベルの洪水も、流されないように立ち続けるのが限界のレベルにまで悪化します。
一方で、ハリケーンハービーが甚大な被害を引き起こした大きな要因の一つ、移動速度の遅さですが、こちらについてはまだまだ研究途中とのこと。
しかし、アメリカ南部における亜熱帯地帯の拡大(エリアレベルでの平均気温や降水量等々の変化)が影響している可能性があるようです。
一つ一つの年を取り上げた場合に、その年の温度の高低が地球温暖化によるものかどうかは判断出来ません。
しかし、何年、何十年も研究データを積み上げた場合、少なくとも強い相関性がある、という事は証明出来ます。
他の言い方をすると、ステロイドでドーピングを行った野球選手がいて、仮に彼が従来よりも20%多いホームランを打った場合。
どれか特定のホームランがステロイドの影響で、それ以外のホームランは彼の実力です!と言い切る事は不可能です。
しかし、一定の期間を通じて20%も多くホームランを打った場合、それはステロイドによるドーピングと相関性がある、と言えます。
同様に、地球温暖化が起こっていたとしても、どのハリケーンが地球温暖化のせいで勢力が強くなったのか?地球温暖化によってはわからないのです。
しかし、地球温暖化によって、我々人間はハリケーンに対してドーピングを行なっている、ということは言えます。
Coastal Texans Concerned About Rising Sea Levels Amid Hurricane Threats
What We Know about the Climate Change–Hurricane Connection
It’s a fact: climate change made Hurricane Harvey more deadly
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