【中国】世界最大の排出権取引市場に向けた足取り
アメリカのトランプ大統領は、オバマ前大統領が交付した、持続可能社会形成のための公共投資政策、グリーンニューディール政策を撤廃する方針です。
それにより、アメリカは持続可能社会の形成で世界のリーダーではなくなる、と言われており、次のリーダーはどの国になるのか?ということが関心を集めています。
特に二酸化炭素の排出権取引については、次世代リーダーの最有力候補が中国ではないか、と言われています。
中国は、オバマ大統領の時代から排出権取引について強い関心を寄せています。
2015年の9月には、習近平国家主席とオバマ大統領は会合をもち、
その後習近平国家主席は、温室効果ガス排出を国家的な枠組みで制限するため、排出権取引プログラムを2017年までに実施することを発表しました。
この宣言はまだ有効であり、2017年中の排出権取引プログラム実施はまだありうると言われています。
実施に向けて、中国は欧米式の排出権取引の手法を参考にすると言われており、今年の6月に習近平氏はジェリー・ブラウン カリフォルニア州知事と面会しました。
パイロットの段階では、EU、オーストラリア、イギリス、ドイツ、ノルウェー、そしてカリフォルニアなどが参考対象にということです。
このプログラムの実施によって、中国における排出権取引市場は4倍以上になると言われており、その結果、キャップアンドトレード方式による世界最大の排出権取引市場になることが見込まれます。
(キャップアンドトレード方式:国家が割り当てた排出権をそれぞれの団体が持ち、その制限枠の中で余った排出権を取引する、という方式)
排出権取引は、世界中で期待を寄せられてはいるものの、まだ温室効果ガス削減に対して明確な効果は認められていません。
そのため、この中国における排出権取引の成否は、世界の排出権取引全体に対する印象を大きく左右するとも言われています。
つまり、これが成功すれば世界中の国で排出権取引が有用なものだと信じられるようになりますし、
失敗すれば排出権取引やそれに関連する環境規制の勢いは大きく削がれることになります。

しかし専門家たちは、欧米のシステムを、中国における経済の枠組みの中で機能させるためには困難が伴うだろうと述べています。
専門家たちの言う、今後の流れを観察する際の大事なポイントとしては
・規制程度にとどまるのか、法律として認められるのか
・排出量情報の透明性と誠実性
が挙げられています。
法律となる場合は、立法プロセスを経る必要があるため、成立まで数年かかることが見込まれます。
しかし、法律でないとなると、違反が見つかった場合の罰則が制限されます。
規制の枠内に収まった場合、重大な罰は発生せず、例えば新しい建設の制限程度に済むでしょう。
法律として立法されれば、それに見合った厳重な処罰(例えば罰金や責任者の禁固刑)なども起こりうるようになります。
市場の動向を長く見守ってきた研究者であるジェレミー・シェレイフェル氏(Resources for the Future 所属)は、少なくとも最初の時点では8割がた規制に留まるだろうと予測しています。
今後の進展に注目です。
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