2021/10/3 ~ 10/9 のサステナビリティ系重要ニュース(私選)

2021年10月3日(日)~10月9日(土)の間に報道されたサステナビリティ系のニュースの内、重要と思われるものを抜粋+私見。
筆者の主観込々なのでご参考まで。

最近1週間サステナ系重要ニュース(~10/9)

  1. TCFD 上場企業等の有報に義務化の流れ強まる
  2. ノーベル物理学賞に真鍋氏
  3. ENEOSが脱石炭に向けて大幅な財務施策

1.TCFD 上場企業等の有報に義務化の流れ強まる

英国など欧州を中心に義務化の流れが進行中のTCFDについて、
日本の金融庁が義務化の範囲を拡大する方向との報道
2022年4月に予定する市場再編で最上位市場に上場する企業(プライム銘柄)に開示を義務付けるほか、
23年以降に有価証券報告書を提出する企業全体に開示を盛り込むよう求める

参考:気候変動、4000社に排出量・損失影響開示求める 金融庁

参考: 【日本】PRI、CDP、AIGCC、金融庁長官にTCFD開示の義務化を要求。さらに気候インパクトの開示義務化も

近年、ヨーロッパを中心にTCFD開示の義務化が進みつつあります。
特に英国は既にその方向で動いていますが、それでも2025年完全実装では、という報道もあり、日本は世界的に見てもかなり早い可能性。

国際的な責任投資家向け原則のPRIや、気候変動等について企業にアンケートを回付して回答結果でスコア付けし回答企業数も世界有数のCDP、気候変動に関するアジア投資家グループであり参画メンバーに超大手アセットオーナーなども含まれるAIGCC、といった影響力のある団体からも圧力を受けているとの報道も。

しかし、実情としてはTCFD賛同済み企業の数は日本が世界一であり、金融以外の業界での対応済み会社数もダントツ。
金融庁としては、世界に先駆けて対応を進めておきたいのでは?という憶測も可能です。

気候変動リスクへの実務対応 ―不確実性をインテグレートする経営改革

2.ノーベル物理学賞に真鍋氏

米プリンストン大学の真鍋氏がノーベル物理学賞
表彰対象になった研究は、「大気・海洋結合モデル」と呼ばれる
気候変動研究の本丸ともいえるIPCCの第1回報告書においても引用された計算モデル

参考:ノーベル物理学賞に真鍋氏 温暖化予測、気候モデル開発

実際の論文のどこがすごいのか、などは多くの機関で報道されているため割愛。
ただ、気候変動懐疑論者なども多くいる日本出身の研究者が、気候変動に関する領域での貢献が認められてノーベル賞受賞というのは、サステナビリティ業界全体として勇気づけられるニュース。

この受賞を受けて、日本国内としても気候変動は詐欺だ、嘘だ、欧米の陰謀だ、と大きな声で発言する人は減るのでは?

なお、この件とは別のトピックになるが、Google は気候変動懐疑論などのウェブ記事・YouTube動画は広告収入が入らなく仕様に変更するとのこと。
言論の自由などの論点は置いておいて、国際的に活動を加速させないと気温変化を抑えられないと言われている中で、大手企業を含む社会の世論が動いていく兆しの一つかもしれないと思います。

参考:Google、気候変動を否定するサイトへの広告配信を停止

3.ENEOSが脱石炭に向けて大規模ディール

ENEOSホールディングスは再生可能エネルギー新興企業のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)社を2000億円で買収すると発表。

洋上風力のノウハウを持つというが、JRE社は売上36億、純利7億円弱。
利益だけで2000億円を回収する頃にはとっくに2050年を過ぎているようなキャッシュフローであり、大量にキャッシュを保有しているという報道も無し。
ということで一般的にはかなり割高なディール。

一方数日ズレで、道路舗装大手であるENEOS子会社のNIPPOを非公開化して現金調達(2500億円)するという報道。
脱石炭を視野に巨額が動いた実例に。

参考:ENEOSが再生エネ新興買収 2000億円、石油依存転換
参考:ENEOSが東証1部上場子会社・道路舗装最大手のNIPPOを売却、同社がTOBで非公開化【スクープ】

JRE社の評価額についてはかなり議論の余地がありそうだが、裏を返せば洋上風力発電のノウハウに対して、ENEOSという超大手が大金を払っても良いと判断した、という点が大きい。

仮にノウハウなどを取っ払ったJRE社の企業価値が数百億円だとした場合、1500億円を超える価値が洋上風力発電のノウハウにある、という捉え方も可能です。

ESG・サステナビリティバブルの1側面という人もいるでしょうし、納得の価格算定だという人もいるでしょう。
実際にその価値があるのかどうかは今後数年かけて外部が評価することになりそうです。

一方、もう一つENEOSのとった大きな動きが、道路舗装大手で子会社でもあるNIPPO社の非公開化による現金調達。

こちらは流行りのSPAC(特別買収目的会社:SPAC。未公開会社の買収を目的として設立される法人)も活用したもので、非公開化した後も連結対象に残す(=子会社として持ち続ける)と報道されており、ENEOSはそこまで現金が欲しかったのか?と疑問に感じる人もいるかと思います。

ダイアモンド社の報道だと、今回の売却で得た資金を「再生可能エネルギーや水素事業など新分野への投資に充てる」(関係者)ということであり、まさに上であげたJRE社の買収資金では?という捉えることも可能。

こちらはNIPPOの評価額が安すぎるという外部の指摘が既に出ていますが、ENEOSは価格変更の予定は無いとバッサリ。

NIPPOの株主が損をして、調達した金を将来性が(一般的には)不明瞭な会社に突っ込む。
ということでENEOSはこれから投資家対応に追われそうだな、という印象。

それだけサステナビリティの流れが実際のビジネスに大きな影響を与え始めている、ということでよくよく考えると示唆に富む取り組みだと思います。

以上、私見盛り盛りでお伝えしました。

では。

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tansighboy

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