経済成長と低炭素社会は同時に実現できるのか?


低炭素社会・経済・ビジネスモデルへの要請

低炭素社会が求められるようになり、国も、民間企業も頭を悩ませるようになって久しい状況になっています。

社会は個々人、企業などの組織を包括的な集合体です。

低炭素社会を作ろうと思ったら国も、企業も、個々人もそれぞれ何かしらのアクションが必要になります。

企業の中を考えてみると、おそらく多くの大企業が、役人や国際団体、もしくは投資家から温室効果ガスの排出量の削減を求められ、経営層の中にはヒヤヒヤものの人もいるはずです。

大口の機関投資家なども最近は低炭素化を強く求めるようになっていますし、彼らにそっぽを向かれたら株価は大暴落。

株価が下がれば自分のクビも危なくなる。

最悪の場合、ヤのつく団体やファンドなんかに会社を乗っ取られる可能性もゼロではないからです。(今時そこまで考えるひともあまりいないかもしれませんが…)

実務としても、株を担保に操業資金を借り入れ用としても、株価が低かったらそれもスムーズにいきません。

社長や役員が低炭素型のビジネスモデルを目指すぞ!

となった場合にその具体的な計画を考えたり、実行に移したりするのは現場の社員たち。

頭を悩ませた彼らの頭に浮かぶ一つの二律背反。

経済成長と低炭素社会は本当に同時に実現できるの?という疑問です。

エネルギーを使わないとビジネスは出来ない。

ビジネスが出来ないとお金は儲からない。

低炭素社会はエネルギーの使用量を減らしたり、再生可能エネルギーを使うことで温室効果ガスを減らす必要があるのはわかるけど、

日本もそれなりに頑張っているのでは?

低炭素社会なんて出来もしない理想論ではないのか?

アメリカのトランプ政権だって経済活性化のために低炭素社会を無視する方向に傾いたのでは?

低炭素社会ってビジネスの邪魔なんじゃないか?というのが本音の人もいるのではないでしょうか。

そう考えてしまう人は少なからずいてもしょうがないことでしょう。

経済成長と低炭素社会の両立は可能

ただ、結論から言ってしまうと、経済成長と低炭素社会の両立は可能です。

正確には、両立を成功させた先進国が多く存在しています。

それはここ10年以上の統計からも明らかになっており、ただ単に日本がついていけなかっただけのことです。

下は、環境省が公表している資料です。



「我が国の温室効果ガス排出量及び炭素・エネルギー生産性の現状等」より

炭素生産性というのは、温室効果ガス排出量当た りのGDP  つまり、これが高いほど、CO2の排出量を低く抑えながらGDPを高く出来ている、という指標です。

一方で、エネルギー生産性というのは、エネルギー消費量当たりのGDP つまり、これが高いほど、エネルギー消費量を低く抑えながらGDPを高く出来ている、という指標です。

ここからわかることは、いずれの指標でも1995年の時点では世界最高峰だった日本は、それ以降20年近くの間ほとんど成長せず、他の国に置いてけぼりにされてしまったということです。

そして、2002年から2014年の間でのGDP成長率と温室効果ガスの総量の変化率を並べて示したグラフが以下の通り。

「我が国の温室効果ガス排出量及び炭素・エネルギー生産性の現状等」より

つまり、この分析対象の先進国の間で見た場合、経済成長と温室効果ガスの削減は同時に達成可能と言えることがわかります。

環境省の分析では、ここまでの差がついてしまった理由として下記のことを挙げています、

  1. 経済成長率が低かった
  2. 2011年以降の原発停止に伴う温室効果ガス排出量と化石資源系エネルギーの使用量増加
  3. 再生可能エネルギーの拡大低迷

これを受けて、国が掲げる2050年までの温室効果ガスの削減目標等を達成するためには、炭素生産性を少なくとも6倍以上に引き上げる必要がある、と述べています。

これはどう考えてもチマチマとした省エネや節電でどうなるものではなく、根本的な変革が必要になります。

RE100という国際イニシアチブも存在する通り、海外では再生可能エネルギーしか使わないと宣言している企業の数はどんどんと増えています。

超巨大企業のApple ですら、既に達成できています。

Apple の規模は小国を軽く凌駕するものです。

サステナブルなテクノロジー会社とそうじゃない会社 -Sustep-

そのAppleができているのに、国だと出来ないというのは変な話です。

しかし、そのためには経営層が本気になって動かないと不可能。

再生可能エネルギーだけでビジネスをやります!という宣言は部課長級がやりたいと思っても実行に移すことは不可能です。

企業の中で、例えばチームリーダーや部長レベルの人に対して「温室効果ガスを減らす案を考えろ。」と命令が来た場合、

大半の場合は自分の裁量の範囲内で行える、省エネ、節電 に話がいってしまいます。

おそらく、日本の多くの企業においては、「削減目標をどれくらいにするかは、実際どれくらい減らせるのかがわかったら別で考える」という経営者が大半のはずです。

売り上げ目標なんかを設定する場合、目標を先に設定した上で、それをどう達成するか、という議論をすることもあります。

しかし、経営者が自身で決断するような内容だと、なぜか絶対に可能な数値目標ばかりが設定されてしまいます。

近年は再生可能エネルギーの値段も急激に低下し続けています。

再生可能エネルギーやサステナビリティに積極的に取り組んでいるとブランド価値創造にもつながり、競争力にもつながる事例が多数あります。

多くの国際的企業はそういった変化をうまく取り込んで経済成長と社会課題の達成を同時に実現しています。

経営者がこういった事実を的確に把握していれば、抜本的な改革も可能だと考えられる。実行に移そうと想う人もいることでしょう。

こういった事実から目を背けず、現場に考えることを丸投げにするでもなく、

会社のあるべき姿を考える経営者が大勢いれば、経済成長と低炭素社会は同時に実現できるはずです。

我が国の温室効果ガス排出量及び炭素・エネルギー生産性の現状等

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