プラスチック使用量を減らすための企業の取り組み【事例集】

プラスチック使用量を減らすための企業の取り組み【事例集】2019年11月更新

プラスチックゴミの影響


現代社会において、深刻化している問題の一つとして“プラスチック”の取り扱いがあります。

海に流れ着いたら魚、亀、海鳥、クジラ等々が間違えて食べてしまい、場合によっては命を失うことに、太平洋上には海流に従って大量に滞留したプラスチックゴミのエリアが形成され、太平洋ゴミベルトという名前もついています。

地上では、特に発展途上国や新興国で、プラスチックゴミが堆積して健康被害に繋がったり、インドなどではゾウがプラスチックゴミを漁ってしまうケースも報告されています。

ゴミ袋や容器などのプラスチックの他にも、洗顔用品や歯磨き粉のスクラブ剤としても使われていたマイクロプラスチックというものも、回収の難しさから問題になっています。

プラスチックへの対応策のトレンド


2015年、2016年ごろまでは、プラスチックの回収からリサイクルまでを促進する流れが世界で広まっていました。

しかし、近年ではリサイクルではなくそもそもプラスチックの使用量を減らす方向にシフトしつつあります。

国連環境計画(UNEP)も、2018年6月5日に使い捨てプラスチック用品の問題と対策をまとめた報告書「Single-use Plastics: A roadmap for Sustainability」を発表しています。

この報告書の内容は今後世界中でのプラスチック問題を考える時の基礎の一つとして使われる可能性もあります。

イギリスやインドでは、プラスチックに関する規制がどんどんと厳しくなっており、

インドのモディ首相は、2022年までに使い捨てプラスチック用品の使用をインド国内で廃止すると宣言しました。

そういった世界の流れを受けて、プラスチックの使用量を減らすために企業が取り組んでいる事例を紹介します。

recycle

家具製造販売業 IKEA (イケア) の事例


家具の製造販売業で世界最大手のIKEA社は、かねてよりサステナビリティ戦略「People & Planet Positive」というものを掲げていました。

2018年6月7日、その内容を改定し、2020年までに、全世界で使い捨てプラスチック用品の販売、おおよび店内レストランでの提供を全面的に廃止すると宣言しました。

IKEAの商品にはプラスチックの皿やスプーン、フォークなども販売されています。

必ずしも使い捨てとは言えませんが、そういったものも含めて対応が進むのではないかと推測されます。

また、店内レストランの中には、顧客向けのレストランと従業員用レストランの両方が含まれるとのこと。

商品ラインナップを変更するとは言っていないため、今後代替素材の使用が大幅に増えることが見込まれます。

食品大手 アイスランド(Iceland)の事例


イギリスに拠点を置く食品大手のアイスランドは、2018年1月16日に、2023年までに全商品でプラスチックパッケージをやめることを決定・発表しました。

全商品でプラスチックパッケージをやめるという発表は世界初であり、規制が厳しくなり続けているイギリスに拠点を置くアイスランド社ならではの対応と言えます。

プラスチックの代替素材として、完全にリサイクルが可能な紙・パルプ素材のトレーやパッケージを導入予定です。

アイスランド社は、冷凍食品のリーディングカンパニーとして知られており、格安

の食料品販売をしてイギリス国民に広く認知されています。

冷凍食品の性質上、プラスチックパッケージの使用量は多くなりがちですが、そのアイスランドが成功した場合、世界でも先進的な事例として認識される可能性が有ります。

この決断には、NGO団体のグリーンピースのアドバイザリーがあったとされており、別の調査会社の実施したアンケート結果で、一般消費者からの支持が高かったことなどが影響しています。

紙・パルプ素材のリサイクルの際には、政府のリサイクル施設、自社のリサイクル施設をフル活用する予定とのことです。

消費財 ユニリーバの事例


Dove(ダブ)やリプトン、Lux(ラックス)などで知られている、オランダとイギリスに本拠地を構えるユニリーバ社ですが、2017年1月14日に、2025年までに自社が使用するプラスチック容器の100%を再利用、リサイクル、堆肥化できるようにすると発表した。

ユニリーバ社は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進する欧州の団体の「エレン・マッカーサー財団」の会員です。

同財団の調査内容を参考にし、プラスチック容器の処理に関して対応が必要であることを発表しています。

また、エレン・マッカーサー財団の会員を3年間追加継続し、2020年までに容器プラスチック素材の色素成分などを公表し、同業界向けのプラスチック関連のガイドラインを作成するとも発表しています。

【2019年11月更新】

2019年10月にユニリーバは、従来の目標を拡充し、次のような3つの目標を掲たとのことです。

2025年までに:

  • プラスチックパッケージを100%再利用可能・リサイクル可能・堆肥化可能にする
  • 非再生プラスチックの使用量を半減する
  • 販売する量よりも多くのプラスチックパッケージの回収・再生を支援する

世界規模の消費財メーカーとして初めて、プラスチックの使用量を絶対量で10万トン以上削減することを約束しました。また、どんな製品にするのかを決め、素材を選ぶところはもちろん、ご家庭で使い終わった後のことにも企業として責任を持つべきだという考えから、回収・再生についての目標も新たに追加しました。

玩具メーカー LEGO(レゴ)の事例


デンマークに本拠地を置く子供向けおもちゃの大手 LEGOは、2018年の3月1日、植物由来の材料で作られたレゴブロックの発売を発表しました。
材料として使用されたのは、ブラジルのサトウキビを原料とするバイオプラスチックであり、2018年のレゴのキットから使用される予定です。
現時点では、このバイオプラスチックが使用されるのはレゴブロックの木、茂み、葉っぱなどの「植物」に限られるとのことですが、レゴ社の最終的な目標はすべてのレゴブロックに植物由来の材料を使用することです。

レゴ社は、2015年 デンマークに拠点を構えるLEGOサステイナブルマテリアルセンターに10億ドルを投資し、環境にやさしい代替材料の開発に100人を割り当てるということを発表しました。

レゴ社は、2013年からパンダのマークでおなじみの世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを結んでおり、彼らの環境に対する意識の高さにも一貫性が伺えます。

レゴ社は、2030年までに全てのレゴブロックを持続可能な材料に移行すると目標をかかげています。

関連記事:LEGO植物由来(サトウキビ)バイオプラスチックのブロック発売

食品世界大手 ネスレ社の事例


キットカットやネスカフェで良く知られるネスレ社ですが、2018年4月10日に、2025年までに同社商品の全パッケージをリサイクルまたは再利用可能なものに切り替えると発表しました。

彼らの目標は、最終的に埋立廃棄物をゼロにする完全サーキューラーエコノミー(循環型経済)を確立することです。

具体的には、下記のようなことを掲げています。

  • ネスレが事業活動を展開する各国で、適切に機能する収集、分別、リサイクルスキームの開発において積極的な役割を果たす
  • プラスチック使用を減らすため、様々な包装材料のソリューションを研究するバリューチェーンパートナーや業界団体と協力して、リサイクルを促進し、プラスチック廃棄物をなくす新たなアプローチを開発する
  • l 消費者が正しい方法で廃棄できるように、プラスチックの製品パッケージにリサイクル情報を表示する
  • ネスレ製品の包装材料に使うリサイクルプラスチックの割合を引き続き高めることで、リサイクルプラスチック市場を発展させる

消費財メーカー 花王の事例


花王の事例は他と若干異なり、既に対応済みのものです。

日本最大級の消費財メーカー 花王ですが、スクラブ剤などとして使われていたマイクロプラスチックによって、規制・非難の対象となっていました。

具体的には、ごく一部の洗い流すプレステージ化粧品、海外で販売している全身洗浄料のごく一部には、マイクロプラスチックビーズに該当する成分を使用していたとのこと。

しかし、2016年末までに、それらのマイクロプラスチックビーズはすべて代替素材に切り替えが済んでおり、現在花王ではマイクロプラスチックを使用した商品は無いようです。

なお、「ビオレ」「メンズビオレ」の洗顔料、全身洗浄料に使用しているスクラブ剤は、天然由来の成分(セルロース、コーンスターチ)を使用して花王が開発したもの。また、歯磨きの「クリアクリーン」の顆粒も、天然由来の成分であり、元々マイクロプラスチックの使用はほとんどなかったようです。

化粧品メーカー 資生堂の事例


化粧品メーカーの資生堂では、使用しているマイクロビーズは人体にきわめて安全性が高い原料とのこと。

しかし、まだマイクロビーズの使用は続けているということで、アメリカでは連邦法に従い、原料を完全に置換予定です(生産:2017/6/30 まで、販売:2018/6/30 まで)。

その他の地域の既発売の洗浄料については、商品特性などを考慮しながら遅くとも2018年末までに切り替えを終了します。

今後も法規制の有無にかかわらず、環境リスク等を考慮して必要と判断した場合には、速やかに代替物質へ切り替えていく方針のようです。

食品包装メーカー テトラパックの事例


ベルマークや牛乳パックで日本でも広く使用されているテトラパック社は、実は外資系であり、スウェーデン創業のテトララバルグループの一部です。

テトラパック社自体ももちろん持続可能性に考慮した経営を続けていますが、これまで提供していた給食で出る牛乳パックなどでは、紙パックにプラスチックのストローを使用せざるを得ませんでした。

しかし、2018年4月30日、紙製ストローを開発するという計画を公表しました。

ゴミの分別を不必要にすることで、プラスチックゴミの混入や廃棄に対する抜本的な解決策とするとのことです。

ファストフード世界最大手 マクドナルドの事例


世界最大手のファストフードチェーンであるマクドナルド社は、プラスチック規制が年々強まるイギリスにおいて、プラスチック製ストローの使用をやめ、紙製に変更することを発表しました。

2018年6月15日の発表によると、9月から英国とアイルランドのすべての店舗で紙ストローが導入されるということです。

関連記事:マクドナルドの実験から見るストローをめぐる世界の動き

世界最大のマクドナルドのフランチャイズチェーンがサステナブルな材料・資材の使用を発表

食品大手 日清食品ホールディングスの事例(2019年11月追記)


日清食品ホールディングスは、カップヌードルで世界中に広い認知率を誇る日本企業です。

サステナビリティ中長期戦略「EARTH FOOD CHALLENGE」の遂行にあたり、

カップヌードルの容器をカーボンニュートラル(CO2排出量ネットゼロ)に近づけるため、植物由来のプラスチックの割合を増やす計画を発表済です。

以下引用-----

従来の「ECOカップ」に比べて1カップあたりの石化由来プラスチック使用量をほぼ半減、LCAで排出されるCO2量を約16%削減する環境配慮型容器。2019年12月から「カップヌードル」の容器に採用を開始し、2021年度中に全量の切り替えを完了させる予定。

引用終わり―----

上記に追加して発表されたのは、

「ごみ発電電力」を利用し、焼却に伴うエネルギーを活用することで、即席麺容器や、食品残渣を含むごみの再資源化に向け、今年度中に東京本社で使用する電力を「ごみ発電電力」に切り替える、という内容。

東京本社に導入する電力は、電力アグリゲーターであるみんな電力株式会社を通して、ごみ焼却発電施設から生まれる電力を購入し、ごみ発電の電力により東京本社電力使用量の50%を賄う予定ということです。

日清食品ホールディングスの施策の特徴は一貫性の高さです。

カップヌードルの容器の変更は2019年6月の発表。

ごみ発電電力の採用は2019年10月末の発表です。

そしていずれの計画も、一連の流れとして発表され、絵図を使用して説明されています。

nissin, cupramen

プラスチック排斥を掲げて、紙素材への切り替えなどに向かう企業が多くみられる中、

カーボンニュートラルとリサイクルを主軸に据えて、ごみ発電による最終的な回収までを見据えて統合的に発表されている、あまり多くない事例です。

日清食品ホールディングスでは、”今すぐにできるサステナビリティ活動”として「ごみ発電電力」の活用、

将来の技術イノベーションも視野に入れて、使用包材のリサイクル研究、

と短期、中期、長期の施策を切り分けて、現場がちゃんとついていける範囲内の計画遂行を考えているといえるかもしれません。

監査法人・コンサルティング会社 PwC


PwC社は世界最大手 監査法人 通称 Big4の一角であり、イギリス ロンドンが発祥の地です。

彼らはものつくりなどは行わないため、直接プラスチックを取り扱うことは有りませんが、英国政府の方針を受け取るべく、社員のプラスチック使用量を減らすための取り組みを行いました。

“‘Give me tap”と呼ばれた試験的な取り組みの内容は、金属の水筒を従業員に配り、その代わりに水やプラスチックボトルの使用状況をモニタリングする、というものでした。

その結果、購入したプラスチック容器の飲み物の量は(重量ベースで)58%も減少し、63%の社員はいつもよりも多く水を飲んだとのこと。

また、使い捨てカップの使用頻度は42%減少し、数々の環境・従業員の健康に良い面が発見されました。

これを受けて、PwC イギリスオフィスは、この活動をイギリス全土に拡大するということです。

2018年6月17日 更新

以下、引用

India will abolish all single-use plastic by 2022, vows Narendra Modi

New report offers global outlook on efforts to beat plastic pollution

ICELAND AIMS TO BE PLASTIC-FREE ACROSS OWN LABEL RANGE BY 2023

Unilever commits to 100% recyclable plastic packaging by 2025

FIRST SUSTAINABLE LEGO® BRICKS WILL BE LAUNCHED IN 2018

Nestlé aiming at 100% recyclable or reusable packaging by 2025

IKEA launches new People & Planet Positive strategy

Plastic persuasion: PwC study delivers 58% drop in plastic bottles bought

マイクロプラスチックビーズへの対応

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