コスタリカは世界初の炭素排出量ゼロの国になれるのか?

コスタリカは世界初の炭素排出量ゼロの国になれるのか?

 

新大統領と短期的な巨大な目標


中米の優等生と呼ばれ、その豊かな自然と平和な国柄で知られている国、コスタ・リカ。
その名前はスペイン語で「豊かな(Rica)海岸(Costa)」を意味します。

コスタ・リカでは、2018年5月8日にカルロス・アルバラード・ケサーダ大統領が新しく就任し、それに伴って新しい政策目標が発表されました。
その内容は、サステナビリティや脱炭素化が進む世界の中でもさらに突出したものでした。

まだ38歳で元ジャーナリスト、かつ左翼系政党である市民行動党(PAC)のメンバーであるカルロス大統領は
「脱炭素化は私たちの世代の大きな任務であり、コスタリカはそれを達成する最初の国の一つとなる」
「我々は、清潔で再生可能なエネルギーを利用するための道を作るため、経済における化石燃料の使用を廃止するという、巨大で美しい仕事を負っている」
と発言し、コスタ・リカの独立200周年の年となる2021年までに炭素燃料に別れを告げることを宣言しました。

 

こんな超短期間での目標ですが、コスタ・リカの鉄壁とも言える自然保護法と盛んな観光産業を見ると、完全に不可能にも見えないかもしれません。

costarica

 

実際にこの国は、水力発電、太陽光、風力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーを非常に積極的に使っており、電力のおよそ99%を生産することが可能なことでも有名です。
2017年には、コスタ・リカは300日間連続してクリーンなエネルギーのみを使用しており、もともとコスタ・リカが持っていた独自の記録を更新しました。

すぐ近くの超大国アメリカの電力の66%が石炭や天然ガスなどの化石燃料由来、19%が原子力発電からのものであり、再生可能エネルギーゆらいのものは残りの15%に過ぎないことを考えると驚異的です。

脱炭素化実現のための問題点


人口約500万人であり規模的には福岡県程度、GDPは574億ドル程度であり福島県より少し劣る程度というコスタ・リカ。
就任からほんの3年程度のスパンで脱炭素化を実現するという発言は、それだけでも称賛に値するという人もいます。
しかし、わずか3年で化石燃料を廃止するということは、物流や交通機関を考えた途端、その難しさが露呈されます。

コスタ・リカでは、自家用車の大半はまだまだガソリン車とディーゼル車であり、むしろ最近では車の数が増えています。
昨年2017年においては、コスタリカの自動車産業は、前年に比べて25%もの驚異的な成長を遂げており、ラテンアメリカで最も急速に成長している自動車市場の1つになっています。

公共交通機関のネットワークが弱く、道路を走る車の数も増えているため、なんとコスタリカの年間温室効果ガス排出量の約3分の2は輸送からのものです。
それでも、就任式に水素動力のバスで到着したカルロス大統領は、「独立200年周年」の際には、我々はコスタ・リカの輸送からガソリンとディーゼルを取り除いたことも合わせて祝えるだろう”と宣言しました。

カルロス大統領のキャンペーンの中心は、コスタ・リカのガソリンに依存した公共輸送システムを整備し、近代化し、新しい持続可能な燃料源の研究を促進し、国内の石油・ガス探査を禁止するという約束でした。
(2016年には、ハイブリッド車とEVは、全車両の1%以下しか占めていなかったようです。)

 

実際に完全な脱炭素社会は実現可能なのか?


多くの専門家がコスタリカの野心的な目標に拍手を送っていますが、2021年までに化石燃料を使用しない公共輸送が完成するかというと難しく、
象徴的な意味合いに終わる可能性のある挑戦であると指摘しています。

コスタ・リカ財務省のデータを参考にすると、非常に大きな経済的障害の1つは、現在の政府の歳入の約22%が化石燃料に対する税金から来ているという点です。
膨大な数の自動車ドライバーが依存しているガソリンの輸入を完全に廃止することは、政府の歳入源に直結し、税制を根本的に考え直す必要が出てきます。

カルロス政権がその見込み損失を補うために取るべき道は明らかになっていませんが、炭素税というのは一つの手段でしょう。

ノーベル賞受賞者である経済学者のジョセフ・スティグリッツは、
コスタ・リカはすでにグリーン化が進んでおり、炭素税を導入したとしても、他地域のような大きな収入は得られないだろうと指摘しています。
しかし一方で、電気が実質的にほぼ脱炭素化できているため、電気自動車の導入は温室効果ガスの削減に効果的だとも言われています。

もし、コスタ・リカがこの高い目標を達成できなかったとしても、このチャレンジは他の国からしても非常に大きな注目を集めることでしょう。
そして、目標達成を成功し脱炭素化を達成した初めての国になった場合は、世界はコスタ・リカをお手本にしようと動き始める可能性もあります。

2021年というそう遠くない未来。
そのときどうなっているかが楽しみです。

 

Costa Rica poised to become world’s first fossil fuel-free country

 

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