ダイソン 電気自動車開発のために300人の増員を予定
掃除機やハンドドライヤーにおいて、おしゃれかつ高性能として知られているダイソン。
英国発のこのブランドは、電気自動車業界に参入することを発表しており、現在400人ほどの従業員が電気自動車開発のための部署に所属しているとのことです。
しかしこのたび、ダイソンが自動車部門をさらに300人増員するということが報道されました。
ダイソンの3つのEVモデル
ダイソンのEV(電気自動車)プロジェクトは、3年以上にわたって進行しており、3つのEVモデルを生産する予定で進行しています。
最初のモデルは、製造台数を10,000台以下に抑えたモデルになる予定です。
創業者のジェームズ・ダイソン卿によると、このモデルはスポーツカーではないということです。
(なお、ダイソン氏は英国のエリザベス女王からサーの栄誉をもらっております)

ダイソン社公式HPより
ダイソンは、量産車の販売などを含んだ戦略を見据え、将来的にしっかりと確立されたメーカーになることを考えています。
そのため、少数生産である最初のモデルの開発・生産期間は、サプライヤーとの関係を確立するために費やすことを中心に考えています。
少数生産でデビューした後、残り2つの大量生産モデルのEVに取り掛かる計画です。
全てが順調に進んだ場合、ダイソンは今後も電気自動車の開発を続けていくでしょう。
ダイソンは、同時にソリッドステートバッテリー(個体電池)技術を搭載した車の生産に取り組んでいます。
個体電池は、現在主流の液体電池よりも素早く充電でき、かつより多くのエネルギーを蓄えることができます。
より高エネルギー密度の電池を使用することとなるこの先進的な電池は、ダイソンの開発するEVの第2モデルには搭載されると見込まれています。
これは、固体電池をめぐる競争にダイソンが飛び込んでいくことを意味します。
既存の自動車メーカーの中で、トヨタは今後10年以内にこの技術を導入すると計画しており、BMWのスポークスマンも最近、同社は個体電池に関して急速に進歩していると主張しています。
他には、ポルシェも個体電池を使用したEVを製品する計画があることを示唆しています。
ダイソンはバッテリーのスペシャリストであるアン・マリー・サストリを2017年後半に失っており、会社にとっても大きな打撃を受けています。
一方でダイソンは、人工知能技術にも投資しており、ロボティクスや機械学習などの最先端のデジタル技術も可能性を探っています。
ダイソンの最初のEV
最初の車の開発のため、ダイソンは20億ポンドの投資を行なっていますが、このプロジェクトは同時に英国政府からの支援も受けています。
(こんなところからも、ダイソン氏がサーの栄誉を受け取っている影響が伺えます)
ダイソンはパフォーマンスなどの細部を保っていますが、最初のモデルは日産リーフのような大衆車にはならない予定です。
その代わりに、ダイソンのEVはより技術重視の市場を目指すことになるでしょう。
それは既存のダイソン製品のように、洗練されたデザインや高機能を持ち、高価になる傾向があるものになります。
現在販売されているEVであれば、テスラのような富裕層向けの自動車を目標にすることとなります。
ジェームズ卿は昨年、ロイター通信に対し、「バッテリーをつくるところであればどこでも、車も作るつもりだ。論理的だし合理的だから。サプライヤーに近づきたい。 私たちを歓迎し、友好的で、物流的に最も賢明な場所にいることを望む。そして、我々は極東アジアの地域に車の大きな市場があると見ている。」と述べています。
ダイソンは極東地域においても人気を誇っており、中国での製造というのも非現実的とは言い切れません。
現段階ではイギリス国内での製造となる見込みですが、将来はわかりません。
同氏は、「私は、新しいバッテリー技術を開発することに社運をかけている。電気自動車は自動車による汚染問題を解決すると信じている。ダイソンは革新を続けたが、ついにこの瞬間、我が社の持つ全ての技術を単一の製品に統合することができたと考えている。」と述べました。
「ダイソンの最高技術者と自動車業界の有能な人材を組み合わせた優れたチームを構築し始めています。チームは既に400以上の優秀な人材を誇っていますが、まだまだ積極的に採用しています。
GoogleのWaymoプロジェクト、Appleなどの会社とは違い、ダイソンは他社の車の部品製造を狙っているわけではありません。
ダイソンの車には、ダイソンのロゴが記載される予定です。
ダイソンロゴのついた電気自動車が、空気を汚さずに道を走る日はそう遠くないかもしれません。
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