Uber イギリス裁判所 運転手を正規雇用と同様に扱うように命令

Uberとイギリスの間の騒動

イギリスのロンドン交通局はUber に対して今後、営業免許の更新を行わないことを発表し、Uberは2017年の9月末以降、再交渉中であり、再交渉期間中は営業も可能という状況です。

その際に、ロンドン交通局が営業免許更新をしないと判断した理由は公共の安全とセキュリティを害する恐れがあるから、ということ。

そして、Uberの新CEOで元Expedia CEOのコスロシャヒ氏は、それらの判断には少なからずUberに関する会社文化の悪評が影響しているだろう、と述べています。

上記のロンドンでの騒動に加え、Uberで運転手としてお金を稼いでいた二人の運転手と彼らの所属するグループから、労働環境についての訴えが上がりました。

ジャイムス・ファラーとイェスィーン・アスラムの二人は、19人のUberで生計を立てる運転手たちとともに、「我々は個人事業主ではなく(Uberの本拠地である)サンフランシスコの企業の社員である」と主張したのです。

そしてイギリスの雇用審判所は、こういった(個人事業主とも取れる)働き方も、最低賃金を守られるべきである、という判断を下しました。

Uberはイギリスにおいて使用する車を全て電気自動車にするという発表をしており、ロンドンの大気汚染、二酸化炭素排出目標の達成にとっては、大きなインパクトがあると思われます。

関連記事:【イギリス】Uber ロンドンでの配車を全て電気自動車に

 

Uber以外にも、AirbnbやLyftなどシェアリングエコノミーを形成するアプリたちは、社会に隠れている価値あるものを人々でシェアすることを可能にし、効率的で持続可能な社会作りに非常に強力です。

 

これらの騒動は、こういったの新興企業による働き方の変化などの社会のうねりに対して、政府や国がどうやって対応するのかを見る、試金石になります。

 

運転手を正規雇用として扱う要求

Uberは、Uberの運転手たちは個人事業主であると主張し、「そもそもイギリスにおいて、タクシーの運転手や、プライベートハイヤーの運転手は何十年も個人事業主あった。」と述べています。

 

裁判所がUberの運転手だけを正規雇用社員として取扱べきだと主張する根拠は、Uberの運転手はUberを利用して配車を行なっている間、その交通ルートなどの80%の情報をUberに送り続けている、という点に基づいているようです。

 

しかし、Uberは、運転手たちが価値を見出している、「個人事業の柔軟性」を奪うことに繋がると主張し、大半の運転手たちは現状の利用方法を好んでいると意見しました。

一方でイギリス労働党の議員であるジャック・ドロメイは、「我々が長きに渡って動いてきた、基本的な労働者の権利の保護は、イギリスの全労働者に適用されるべきだ。」と述べました。

また、産業革命時代の雇用環境の悪さを比較に出し、「Uberは21世紀生まれの企業なのに、まるで19世紀の製粉所のオーナーのような振る舞いをする。Uberが彼らの労働環境を改め、ドライバーたちに対して彼らに見合っただけの権利を認め、法に従っていると肩書きを得られるかどうかは、彼らにかかっている」と意味深な言葉を残しています。

原文:“Uber is a 21st-century company behaving like a 19th-century mill owner, when workers had no rights. It is now up to Uber to change its employment practices and grant its drivers the rights they deserve and are entitled to in law.”

ガーディアン紙より

 

Uberはイギリスでどうなるのか?

Uberは、正規雇用として取り扱った場合、最低賃金や有給休暇の取得、保険の整備などやらなければいけないことが山のように積み上がります。

Uberの新トップはイギリス、特にロンドンを大事な市場だと認識しており、就任してすぐに訪問したりしています。

まずは現在、最高裁判所に対して上告しているということですが、もし正規雇用が義務化された場合、イギリスにおけるUberは、車を持っている一般市民が気軽にライドシェアを行うようなアプリではなくなりますし、管理する側のUberの業務は膨大になり、費用もかさみます。

その結果、値段が上昇したり、運転手が少なくなり、中々捕まえられなくなったりする可能性があります。

 

過去に、Uberを追い出してオリジナルのタクシー配車アプリを作った街が、結果的に失敗したケースがアメリカではあります。

この時の原因は、Uberの使い勝手の良さと、州単位・街単位でのルールの違いがオリジナルアプリの方に不利に働いたからでした。

関連記事:今後もロンドンでUber は使えるのか?

タクシーを最も使いたいタイミングの一つ、「新しい街についたばかりで不慣れの時」

そんな時にアプリをダウンロードしてないからタクシーを捕まえられません、というのがユーザーにとって非常に大きなマイナスだったのでした。

 

日本では、都心部を中心に全国タクシーというアプリが広がっています。

ユーザーからしたら、国や街ごとにオリジナルアプリをダウンロードするというのは非常に煩わしいものですが、現地に住んでいる人からしたら地元アプリの方が便利かもしれません。

 

一方で、ジャック・ドロメイ氏の発言を鑑みるに、ちゃんと裁判所、政府の要求に答えれば、国のお墨付きを得られる可能性もあることが伺えます。

アプリという新興市場において、国からのお墨付きを得られるというのは非常に大きいことのはず。

またUberのように、アプリを経由して仕事をする形態が、正規雇用に認められた場合、そのほかのアプリに対しても似たような影響が広まる可能性もあります。

もちろん、雇用形態が変われば、国としては大幅な税収増が見込めるため、短略的に考えれば大歓迎でしょう。

しかし、それによってアプリ企業たちに多大な負担が発生した時、それは本当に社会全体として豊かになるのでしょうか。

 

イギリス、ロンドンのタクシー事情は今後どうなるか、まだまだ結論が出ていません。

 

Uber loses appeal in UK employment rights case

 


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