“コンクリート”の強度を増し、環境負荷を抑える新技術

コンクリート業界の新技術

 

コンクリートと言えば、現代社会においてあったたり前のものの一つかと思います。
建物や駐車場など、我々の生活基盤を、文字どおり支える役割を果たしています。

そんなコンクリートに関する新技術が、スイスの研究機関から紹介されました。

スイス連邦工科大学チューリッヒ校 通称チューリッヒ工科大学 (ETH Zürich) のある研究室が、Journal of Building Engineeringに投稿した論文によると、彼らは超極薄で強度も十分に保てるコンクリートの利用技術を開発し、それで曲線の美しい屋根を作成したということです。

その薄さは平均で5センチ、構造を支える部分でも約12センチ、端の部分になるとわずか2.5センチになります。

ETH Zurich HPより

写真を見ていただければわかるように、制作された屋根は、複雑な曲線を描いています。

一般的に、地面に直接敷き詰めるような駐車場でもコンクリートは10センチ程度の厚さは求められるようです。
そのため、屋根として自重を支えることが出来、かつこれだけの構造に耐えるとなるととても難しいことなのが伺えます。

 

ただ、こちらの屋根は、まだ完成系ではありません。
なんと、さらに上のレイヤーとして太陽光モジュールを敷き詰めて、この屋根が使われる建物全体の電気を賄おうということまで計画しているとのこと。

 

どういった技術が使われているのか?

ではこの高い強度がどうやって実現されているのか?

大まかにこの屋根は、足場の組み立て、端部分の梁の作成、鋼鉄のワイヤーでの骨組み作成、布地の貼り付けによる強化、コンクリートの吹き付けのステップで作成されます。

鋼鉄のワイヤーをピンと張りつめ、その上で布地でさらに強度を増していること、そして吹き付けられたコンクリートが中まで入り込みしっかりと固まることで強度を担保しているようです。
コンクリートの強度は従来、水の配合比率によって左右され、水が多いほど流動性が増し、その代わり強度が下がると言われています。

しかしこちらの屋根は、研究室の独自の配合を行なったコンクリートを使用することで、スプレーで吹き付けられる流動性と、固まった後の高い強度を保てているとのこと。

 

 

全体の構造の複雑さから、どこにどれだけの負荷がかかるかは、簡単にはわかりません。

しかし、アルゴリズムを使用した計算上は、現在のバランスで十分な耐久力が備わっていることということ。

 

コンクリートが環境に与える影響

 

コンクリートは、砂や砂利、水をセメントで凝固・硬化させた物質です。

セメント生産にはエネルギーを多量に使い、焼成過程では1450度の高温で原料を焼き上げ、性質を変化させる手順が加わります。
エネルギーを多量に使うということは、化石燃料などの燃焼はもちろん存在し、その結果CO2が排出されます。

ただ、確かにセメント生産にはエネルギーを多量に使いますが、実はセメント生産に関連するCO2排出の6割は、原料である石灰石の分解によるものです。

セメントの主原料である石灰石はCaCO3(炭酸カルシウム)を主成分としており、セメント製造過程で 化学反応(脱炭酸)を起こしCO2を排出し ます。

脱炭酸プロセス : CaCO3 → CaO + CO2

つまり、仮に再生可能エネルギーだけでセメントをつくったとしても、CO2は4割しか減らせません。
となると、石灰石を使わないセメントの発明や、セメント消費量の削減、廃コンクリートのリサイクルなどが必要になります。

 

今回、チューリッヒ工科大学の開発した技術は、コンクリートの消費量を減らし、セメントの消費量も合わせて減らすことに成功しています。

そして、表面に敷き詰められる太陽光発電モジュール。
環境に対する影響は、従来の屋根に比べたら随分と小さくなることが考えられます。

 

まとめ

巨大建造物であれば、なおさらその屋根部分を太陽光発電などで活用しないともったいない。
しかし、それに耐えうる屋根を作るというのも簡単ではないのでしょう。
技術で耐久性をあげ、そして、コンクリートの使用量も削減。
その分だけ環境への負荷も大幅に抑えることができる。
こういった技術、そしてそれらを成り立たせる緻密な計算の成果が、気づかないところで我々の生活を豊かにしてくれるのかと思うと頭が下がります。

 

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