【Google Alphabet : X】凧発電で従来の風力発電に革命を!

風力発電には、世界中の電力需要の100倍をカバーできるだけのポテンシャルがあると言われています。
しかし、エネルギー全体のうち、従来の風力発電が占めるのは4%に留まっています。
風力発電の発電量や発電効率を上げるために、数々の試みが進んでおり、
羽のサイズがどんどんと巨大化していったり、風の力の取り込み方を工夫した形状が作られたりしています。
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そして、Google の持ち株会社である、Alphabet の保有している企業 Xの中でも、風力のポテンシャルをフル活用するためのプロジェクトが進行中です。
そのプロジェクト名はMakani。
凧の原理を応用した風力発電システムの開発プロジェクトです。
凧を使った発電のメカニズム
Makani の発電凧は、テザーと呼ばれる頑丈なワイヤーで地面に固定された状態で横風の中をグルグルと回ることで発電します。
その発電は、凧が空を優雅に泳いた際に、地面に固定されたテザーに発生する張力などを利用します。

凧が上空で強い風を受けると、どんどんと高い空に飛んで行こうとしたり、どこか明後日の方向へ流されていく力が発生します。(つまり、風の力で凧を押し流される力に)
凧をテザーで固定しておくと、流されなくなり、その代わりテザーは強い力で引っ張られます。
テザーは地上で、張力を電気に変換するための発電機に固定されているため、凧が風を受けて、テザーが強く引っ張られるほど電気が生産されることになります。
Makani で製造されている小型旅客機サイズの凧は、設定された高さまで自力で飛び上がり、その後、強力な横風の中を泳ぎながら、繋がれたテザーをすごい力で引っ張るのです。
凧発電が有望な理由
凧発電が有望な理由として、高い上空を吹く、強くて安定した風を利用出来るという点があります。
風というのは、性質的に高い上空ほど強くなり、安定するようになります。
強い風はもちろん強いエネルギーを持っているため、風力発電で風の力を有効利用しようと考えたら、上空の風を使うというのは必須なのです。
しかし、従来の方法で上空の強くて安定した風を利用したいと思っても、そこに届くような風車を設置するためには、巨大な羽や巨大な支柱が必要になります。
それらの製造コストは大きくなるほど高くなり、その強い風に耐えられる頑丈な作りにするのも簡単ではありません。
そのため、上空の風をフル活用しようと思ったら、従来の風車型の風力発電では限界があるのです。
そして、凧型の発電設備は、風車型の設備に比べて必要になる機器が小さく、少ないため、初期投資も圧倒的に安くなります。
仮に失敗や破損が起きたとしても、交換が必要になるパーツは限られており、メンテナンスにかかるコストも抑えられます。
そういった面から、費用面でも凧発電は従来の風車型の風力発電に優っているのです。
凧発電の課題点
凧発電は、まだまだ実験を重ねている段階であり、実用化するためには試さなければいけないこと、集めなければいけないデータが無数にあります。
また、暴風などの中での稼働状況などは情報も集まりづらく、検証も中々できません。
Makani プロジェクトは、まだまだデザインレベルでの実験を繰り返している段階のため、交換可能なパーツを組み合わせており、様々なパターンを簡単に実験できるようにしているとのこと。
安全かつ安定的にエネルギーを生み出せるように、重量バランスなどの研究はまだまだ続きます。
ただ先日初めて、商業規模で利用可能なレベルの実験を行なったところ、一般家庭300世帯を賄うのに十分な発電量 (600kw)が得られました。
まとめ
凧といえば、古代エジプトにおいてもピラミッド建設時に石を軽くするために使われたと言われているくらい歴史のある技術
空を吹いている風の力を利用しよう、という試みは数千年来の人間の望みの一つです。
再生可能エネルギーは、多様化を進めており、その中から革命的なものが出てくることが望まれます。
凧発電は、その有望な種の一つと言えるでしょう。
ちなみに、Makani というのは、ハワイ語で「風」という意味とのことです。
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