【手頃な太陽光】なぜ太陽光発電は安くなり続けているのか?

値段が急に下がっている太陽光発電
米国エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所は、太陽光発電のコストが過去1年間で30%減少したことを発表しました。
この計算には、一般家庭の屋根などによる太陽光発電は含まず、プラントなどの大規模太陽光発電所などを計算に入れています。
太陽光発電について、米国エネルギー省はコスト目標を設定していましたが、期限となる2020年を大分前倒しにして、その目標は達成されました。
太陽光発電の値段が下がる、というのは非常に好ましい出来事ですし、それによって再生可能エネルギーが浸透するのは環境に対しても、社会に対してもプラスが見込めます。
しかし、トランプ大統領のパリ協定撤退発表もあり、ここ最近のアメリカは政府によるサポートが十分にあるとは思えません。
そして、一般的に再生可能エネルギーというのはまだ発展途上の技術であり、長期的な投資である以上、国のサポートが必要になるケースが多いものです。
にもかかわらず、太陽光発電の設備価格は下がり続け、手頃な価格とおしゃれなデザインが売りの北欧家具世界大手のIKEAも、太陽光発電設備の格安販売・設置サービスに乗り出しています。
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では、米国の太陽光発電産業は、なぜ値下げを続けられるのでしょうか。
太陽光発電低価格化の背景
太陽光発電のコストが下がる、ということは発電にかかる費用あたりの発電量が増える、ということを意味します。
つまり、
1、発電量が増える
2、発電にかかる費用が下がる
このどちらかしかありません。
しかし、太陽光発電の発電量改善は研究されているものの、現時点で革命的な大きな変化は訪れていません。
つまり、答えは発電にかかる費用が下がったこと。
特に、設備を新規に設置する際の費用が下がったことに起因しています。
そしてその原因は、太陽光発電設備の材料費が下がったことです。
ただ、材料費の低下ですが、不思議な点が一つ。
それは、世界中で太陽光発電に対する需要が高まっているという点。
需要が高まれば、材料費も高騰するのが経済の常識。
需要が高まっているのに下落する、となると導かれる答えは、「過剰生産」です。
その震源地は、アメリカの次のクリーンエネルギー大国になるのでは、と噂されている、中国です。
中国は国としてクリーンエネルギーを推進しており、それに伴って太陽光発電装置のパーツとなるモジュール部分も大量に製造されています。
しかし、製造されたモジュールの数は中国の国内の需要よりも多く、国内だけでは品あまりが発生してしまいます。
その結果、アメリカ及び他国が、安価に太陽光発電モジュールを輸入できている、というのが顛末です。
アメリカはトランプ大統領のパリ協定撤退の表明もあり、環境産業の発展はストップがかかるのではないか?と言われていました。
一方で、中国は政府が主導で排出権取引や、再生可能エネルギーを後押ししています。
しかし皮肉なことに、
国のトップがそっぽを向いたアメリカでは、企業や市民たちが意識的に再生可能エネルギーを推進して着々と広がりを見せ、
国のトップが旗振り役になった中国では、国の方針に従いすぎた結果、過剰生産してしまった商品が海外に流れ、敵に塩を送る形になってしまっています。
アメリカと中国、異なる考え方や政治形態を持った二つの巨大国が、それぞれの方針で動いていますが、それに引っ張られる形でクリーンエネルギーの業界も変わった動きを見せています。
The cost of solar power has dropped over 25% in one year