【食生活】気候変動で野菜の栄養価は下がる?

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気候変動、地球温暖化は、我々の生活にジワジワと影響を与え続けています。
平均気温は上昇し続け、ハリケーンや台風が強くなっていますし、
一方でそれに対応するために、従来の発電方法ではなく、再生可能エネルギーを利用することを基本方針に据える会社も多くなってきました。
では、気候変動、地球温暖化は我々の食生活にも影響を与えるのでしょうか?
アメリカ プリンストン大学の生態学の研究者 イラクリ・ローラッツ氏 (Irakli Loladze)が興味深い研究を進めています。

植物プランクトンと動物プランクトン

彼は生態学の研究の一環として、植物プランクトンの増殖を人工的に加速させ、動物プランクトンを増やす実験を行いました。
というのも、魚などの水生生物にとっての重要な餌の一つが動物プランクトンであり、動物プランクトンにとっては植物プランクトンが餌に当たるからです。
植物プランクトンは光合成を行うことで増えることが出来るため、人工灯で照らし、個体数を増やしました。
そして動物プランクトンにその植物プランクトンを餌として与えたのです。
もちろん期待していた結果は、動物プランクトンの大繁殖。
しかし、結果は真逆でした。
一時的には動物プランクトンは急増しましたが、その後どんどんと死んでいったのです。
原因は植物プランクトンに含まれる栄養素です
人工的に増殖を早めた植物プランクトンは、個体数自体は増えているものの、動物プランクトンにとって必要な栄養素が不足していたのです。
例えるならば、加速的に個体数が増えた植物プランクトンは、栄養がスカスカのジャンクフードのようなものであり、それだけを食べた動物プランクトンは栄養が足りなくなり個体数を減らしていったのです。
これが意味することは、個体数の増加を早めすぎると、栄養素が不足して、食べても意味がなくなるということです。

温室効果ガスと野菜の栄養素

これに似たような現象が、地上の植物の間でも起きています。
現代の社会は、60年ほど前に起きた化学肥料や品種改良などの発明のおかげで、歴史上類を見ないほどに食べ物に溢れた時代です。
しかし、現代の野菜は、昔の野菜に比べて、栄養素が少ないという研究結果があります。
その理由は、第一として集約農業と言われる現代の農業方式。
同じ土を使って何度も何度も短い期間で野菜を作るため、土が貧しくなってしまった、というもの。
多くの野菜は、土の栄養と水、二酸化炭素、日光を使って成長するため、土が貧しいと、野菜が育ったとしても栄養素は含まれなくなります。
そして、化学肥料がカバーできる栄養素は未だに一部でしかないです。
第二の理由としてあげられるのが、温室効果ガスです。
一般的に二酸化炭素濃度が高くなれば、植物の成長スピードは上がるかと思います。
ですが、上で出てきた、植物プランクトンと動物プランクトンの実験を行なったローラッツ氏の他の研究結果によると、
高い二酸化炭素濃度の中で成長した穀物は、鉄や亜鉛、セレン、クロムなどの微量栄養素と呼ばれるものが不足しているとのことです。
それら微量栄養素は、多量に摂取すると人間の体にも悪影響を及ぼしますが、少量は常に必要になるものたちです。
そういった、取り込むのが難しいような栄養素が置き去りにされ、見た目だけが立派な植物になる可能性もあるということです。

未来の食卓事情はどうなるか

地球温暖化とは別で、今世界中では人口がどんどんと増えています。
そのため、世界単位で見たら、食べ物は不足していくことが予測されていて、
世界中が解決の糸口を探しています。
地球温暖化は、ダイズなどの穀物の収穫量にも将来的に悪影響を与える、という研究結果があります。
また、微量栄養素に限らず、タンパク質の含有量も低下するという研究結果も出ています。
ここまでの情報が全て正しかった場合、地球温暖化によって、栄養素が少なくて、収穫効率も悪い穀物が世界中に作られるようになる可能性を示唆します。
植物工場などは徐々に発展を続けていますが、世界中の人々が工業化された野菜を手にすることが出来るとは思えません。
食べ物があること、そして栄養が豊富であること、
その両方を満たすような解決方法が出てくるのを待ち望まれます。


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